bplist00?_WebMainResource? ^WebResourceURL_WebResourceFrameName_WebResourceData_WebResourceMIMEType_WebResourceTextEncodingName_?file:///Users/uedamayu/Downloads/hirai-article-2011-sample.htmlPO?G CineMagaziNet! no.17 池田進一 マンガ・アート革新化をはかるべき世界最高の日本漫画史

マンガ・アート革新化をはかるべき世界最高の日本漫画史
加藤幹郎著『荒木飛呂彦論 マンガ・アート入門』(ちくま新書、2014年1月刊行)


池田 進一

 

 「日本の国立大学で映画学を始めたのは僕なんですよ」と語るだけあって、映画批評家としては世界的な存在だ。そんな大家が、映画ではなく本格的な漫画評論の対象として初めて選んだのが『ジョジョの奇妙な冒険(ジョジョ)』の長期連載で知られる荒木飛呂彦氏だった。
 昭和62年に少年漫画雑誌で連載が始まった「ジョジョ」は、媒体こそ移ったが今でも連載が続き、2月現在で累計9千万部以上を売り上げるほどの大作だ。
 国内だけでなく、フランスのルーブル美術館では小作品展が行われ、世界的ブランドとコラボをし、さらには漫画とは縁遠いアメリカの科学雑誌の表紙を飾るなど、その活躍は多岐にわたり、ファンは世界中にいるといっても過言ではない。
 その荒木氏を「紛れもなく芸術家(アーティスト)」と評する。芸術家の定義は「歴史を踏まえたうえで、その延長線上でオリジナルなことをなしえる人」。印象主義からスタートし、日本の浮世絵などから強い影響を受け、自らの作風を作り出したゴッホなどもそうだという。
 その定義によれば「荒木氏も石ノ森章太郎や手塚治虫などから影響を受け、それを踏まえた上で革新的なオリジナル作品を作り出した芸術家だ」と断言する。
 そのオリジナルの最たるものがコマ割りだ。それまで正方形や長方形でコマ割りされることが当たり前だった漫画の世界で荒木氏は斜線や、時には円を使ってコマ割りをする。著書では「安定した構図を放棄することで読者の視野を拡大させている」と表現した。
 ジョジョとの出会いは25年ほど前。大学時代に「気分転換に」とぱらぱらめくった雑誌に掲載されていたその漫画に目を奪われた。
 映画学を本格的に究めようとしていた時期だけに手が出せなかったが、この名作を単純な娯楽作品としてだけではなく、芸術史の中に位置づけるべきだと昨年ごろから「荒木飛呂彦論」の執筆に取りかかった。自らが専門とする映画に関する著作を荒木氏が執筆したことも大きかったという。
 「これまでに荒木氏を単なる娯楽漫画家ではないと論じた人はいなかった。漫画が芸術として世界一のレベルにあり、荒木氏に代表される日本の漫画が芸術に匹敵することが証明できた」と自信を見せる。
 「絵画や写真、映画といった視覚的芸術に基づいたすぐれた芸術漫画家だ」と荒木氏を絶賛するが、それだけに「荒木氏以上に興味をひかれる漫画家は少ない」と、漫画家論はこれにて終了。再び映画学へと戻る。面識はないという荒木氏に著作の感想を聞いてみたいかと尋ねると「そういう機会も将来あるかもしれませんね」と穏やかに笑った。

(『産経新聞』2014年3月4日より)

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