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提言 映画保存法の制定を望む |
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西川進太郎
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■映画は文化の源泉 ひるがえって我が国の国会図書館の活動状況はどうであろうか。戦後「国会図書館法」によって「法定納本制度」が始動し、基本的に日本で出版されたあらゆる書籍が半自動的に国会図書館に納付収蔵されるようになった。しかし本来この法律は書籍ばかりでなく、映画を含むすべての録音録画物に適用されるはずであった。それがなぜかしら今日にいたるまで適正に運用されていない。日本はアメリカ、インドとともにトップ・スリーにはいる世界的映画生産国である。にもかかわらず、映画を文化的・経済的利用のために(衛星放送やインターネット上での二次利用という目先の利益にとらわれず)、国会図書館で網羅的に保存し、組織的に上映しようという努力がはらわれていない。 国会図書館に収蔵された膨大な量の書物が未来の日本の文化的・経済的創造力の源泉であることは疑いをいれない。それゆえ本来そこに含まれるはずであった映画(動画音声記録物)がその収蔵品目から抜け落ちたまま長らく放置されているという事態はゆゆしき問題である。これ以上手遅れにならないうちに、しかるべき「映画保存法」を制定し、すべての映画製作者が自作フィルムを国会図書館(あるいは東京国立近代美術館フィルムセンター)に納付し、そのすべての複製ポジを京都文化博物館映像資料室等が分散保管するような、未来のマルチメディア世代に日本の映像遺産を確実に譲り渡すシステムを構築しなければらない。 |
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■驚くべき自壊作用 これを防ぐためにも、すべての映画製作者がポジかネガ・フィルムをすみやかに国会図書館なり東京国立近代美術館フィルムセンターに寄託し、万全の保存体制に委ねるという文化法制度が必要であろう。 |
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