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この映画は大きく二つの部分に分けることができる。まず前半の戦艦での戦闘のシークエンス。そして負傷兵が運び込まれ、治療を受ける病院船のシークエンスである。前半の動的な戦闘と後半の病院の静寂はきれいなコントラストをなしている。前半と後半をつなぐプロットは、負傷兵と志願看護婦の関係である。負傷兵を看護する志願看護婦は、彼のペンフレンドである。二人の関係は互いに身につけているペンダントからわかる。志願看護婦は負傷兵がペンフレンドであることを知るが、負傷兵はまったく気づかない。病院船の停泊する港に、負傷兵の乗っていた軍艦が入港してくる。デッキにでて軍艦を迎える他の負傷兵たち。志願看護婦は軍艦を見ることができない負傷兵を支え、ふたりは丸い船窓から軍艦を見る。

ロッセリーニは負傷兵と志願看護婦の恋愛物語的な部分は自分が監督したものではないと主張している。彼のオリジナルな考えは、10分間ほどの短編で戦闘のドキュメンタリーを撮影することだったらしい(注17) 。ロッセリーニのやや弁明ともとれる言葉の裏をとることはできないが、『白い船』の戦闘シーンや戦艦内部の細密な描写は戦後のネオレアリズモの形式的な萌芽と考えることもできる。

CineMagaziNet! No. 2
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